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人を動かし、組織を作り、
事業を推進していくために
最も知っておきたい知識とは?(2)

人を動かし、組織を作り、
事業を推進していくために
最も知っておきたい知識とは?(2)

正しい「人間に対する知識」を学ぶ価値


組織運営の知識

前回の記事では、組織経営が人を対象としている以上、人間に対する知識はとても大切であり、特に人を動かし、組織を作り、事業を推進していく経営者が、科学的な調査などから「人間とはこういうものだ」と発見されてきているものを学んで活用することの価値をお伝えしました。


そしてその上で、「給与で社員のモチベーション(労働意欲)は高めることができるのか?」「人間が高い創造性やパフォーマンスを発揮するために重要なものは?」といったテーマに対し、「動機付け・衛生要因理論」や「外発的動機づけ・内発的動機づけ」などの研究をご紹介し、人間が高い成果を出すために、【給料はそこまで重要ではない】【内発的動機、情熱、目的】がポイントであることを解説してきました。

今回も引き続き、人間の行動や心理に関する研究をもとに、組織運営の重要なポイントをお伝えしていきたいと思います。


参考記事:人を動かし、組織を作り、事業を推進していくために 最も知っておきたい知識とは?


マズローの欲求階層説と
組織ビジョンとの関係


「人間とはどういうものか」を考える上で、マズローの欲求階層説もとても参考になります。

マズローは「食べたい・寝たい」といった生理的欲求を人間の根源的な欲求としてとらえ、これらの根源的な欲求の充足が、人間にとってまず優先されると考えました。

根源的な欲求が充足されてくると、より高次の欲求が現れてくる、強くなってくる、という考えです。


マズローの欲求階層説,自己実現理論


生理的欲求がが満たされれば、今度は安全の欲求が出てきます。「命の危険がない」「安心して寝れる場所がある」「たぶん生涯、食うには困らない」そういうことを満たしておきたい、という気持ちです。

安全の欲求は、現代社会の日本においては、多くの人が満たされているとも考えられますが、人によっては「いつクビになるか分からない」「いつ失業してしまうか分からない」という不安を抱えている場合もあるでしょう。

そのような状況においては、人はこの安全の欲求が最も強く現れ、それを満たすことが本人にとって最も重要であるということになります。

同じように、安全の欲求が満たされれば、所属の欲求が現れてきて、所属の欲求が満たされれば自我の欲求が現れてきます。


このことと組織経営の関係は「ビジョンをどのような言葉で発信すると、社員に響くのか」というところに出てきます。

自己実現欲求が強い人材においては、彼らは社会の真善美を追求する欲求で生きていますから、会社が「こんな素晴らしい社会を作るぞ!」というビジョンを示したら、それがそのまま彼らの欲求を刺激し、意欲向上につながっていくことになります。

しかし、例えば自我の欲求が強い人材においては「自分なりに自由に仕事ができる裁量が欲しい」といったこと重要になりますから「こんな素晴らしい社会を作るぞ!」だけではぴんと来ないのです。「こんな素晴らしい社会づくりに貢献していけば、収益も増して、自由に仕事ができる割合も増えるぞ!」といった翻訳が大切になってきます。

同じように、例えば安全欲求が強い人材にであれば「それによって、雇用の安定性が増して、安心して働き続けられるようになるよ」といったことを伝えていくことが重要になります。


この翻訳する際のポイントは、下記の記事でより詳しくご紹介しておりますので、興味がある方は是非ご参照ください。

参考記事:能動的に協力し合いながら、ビジョン実現のために行動し、貢献していく組織(後編)


非常に集中力が高く、
高いパフォーマンスを発揮できる状態とは?


ミハイ・チクセントミハイ博士のフロー体験理論も、人間をとらえるうえでとても重要な理論であると思われます。

チクセントミハイは、人間が集中している、没頭しているという状態はどのような要素がそろうとそうなるのか?について調査・研究しました。


その結果、集中力が高い状態を生み出すのに以下のものがあると分かりました。(研究結果としては8要因ありますが、ここではビジネスで考えやすい4要因を示します)

1.目的が明確である
2.難易度が適切である
3.迅速なフィードバックがある
4.集中できる環境がある


チクセントミハイのフロー体験理論


この4つがそろうと、俗にいう「没頭している」状態になります。没頭している状態は、非常に集中力が高く、目的に対して創造的思考が働き、効果的に学習でき、高いパフォーマンスを発揮できる状態です。

もちろん経営陣からすれば社員には「没頭」して仕事をしてもらいたいものですし、社員の側からしても「没頭」している状態は、充実感や幸福感につながる素晴らしい時間でもあります。


ここでも「目的が明確である」ということが示されています。内発的動機、情熱、ビジョンの重要性と重なる主張です。

4要素のうち、フロー体験理論の中核的な要素は、二つ目の「難易度が適切である」ということです。

人の集中力の高さを引き出そうとするとき、取り組む内容の難易度の設定が絶妙である必要があります。


これはゲームに最も現れるのですが、最も没頭するゲームというのは、難易度設定が絶妙なのです。

簡単すぎるゲームもクソゲー、難しすぎて絶対クリアできないといったゲームもクソゲーということになります。

逆に没頭するゲームは「絶妙に、ちょっと難しくて最初クリアできない」「けれど、2回目3回目には頑張ってクリアできる」「次の面はまたちょっと難易度が絶妙に上がっている」といったことが繰り返され、それによって「ずーっとはまり続けている」というような状態が起こります。

人の集中力と、取り組む対象の難易度は、非常に関係が深いのです。


「フィードバックループがある」ということも没頭の要素の一つです。これは「今やっていることが目的に対して、プラスなのか、マイナスなのか、が分かる」ということです。

これも、ゲームでは明確にプレイヤーやつかむことができています。ゲーム中の敵を倒して得点が入ればプラスですし、、逆に、自分が敵にやられてヒットポイントが減っている、みたいになればマイナスです。

これが明確に分かるということが、没頭するためには重要なのです。


逆に言うと仕事をしていて「これが役に立っているのか、立っていないのか、分からない」というような状況があるとすると、その仕事に対して没頭することは難しくなります。

例えば、新人が掃除当番になって、1か月掃除をし続けたとします。しかし、誰からも何もフィードバックがない。やってなくてもバレないんじゃないか?くらいの気持ちになってくる。そういう時は、掃除という仕事になかなか没頭できないでしょう。

しかし、例えば週に1回でも「お、掃除ありがとう」「キレイにしてくれて、仕事しやすいよ」といったフィードバックがあれば、自分の仕事の価値を実感することができます。

こういったフィードバックループがあることは、没頭、集中力のためにはとても重要なのです。


一般的に営業職はフィードバックループが自然発生的にあります。「売れた」「売れなかった」「予算に近づいた」といったことが、分かりやすいからです。しかし、経理や財務の仕事などは成長や価値貢献を感じにくい場合もあります。

こうした部署・職種においてはより意識的に「フィードバックループ」の仕組みを用意しておくことが重要になります。例えば、1か月間の業務の振返りを行う、成長を振り返る、セレブレーションを行う、といったことが挙げられます。

「集中できる環境」については、集中するためには環境設定も重要ということです。これは「他のことに煩わされずに、目的に向かってそれだけに専念できる環境がある」ということです。

これは、具体的には例えばトリンプ社で「頑張るタイム」というものが設けられていましたが、これが一例になります。私語禁止、電話も出なくていい、自分の業務に専念していいよ、という時間を会社として用意していたわけです。



自律自走型人材
Growth Mindsetとは?


もう一つ、これは教育学の領域ですがキャロル・ドゥエック教授の「Growth Mindset」もご紹介します。Growth Mindsetのコンセプトはかなり影響力があり、現在アメリカを中心に拡大し始めている「No Rating」といった人事評価制度も、背景にはこのGrowth Mindsetの思想があります。

Growth Mindsetの研究成果をかいつまんで言えば「人はGrowth Mindsetの人と、Fixed Mindsetの人に分類できるよ」「成長し、成功するのはGrowth Mindsetの人だよ」ということです。


Growth Mindsetは・・・自分には成長の可能性があり、今できないことでも、取り組んでいけばできるようになると思っている。挑戦し、成長することに喜びを感じる。

Fixed Mindsetは・・・人間には固定化された才能があり、できる人はできる、できない人にはできない、と思っている。成功することが重要であり、成功できそうなものだけに取り組む。失敗したくない。


といったように説明できるのですが、Fixed Mindsetの人材は「(最初はいいけれど)伸び悩む人材」「不良在庫のようになってしまう人材」であり、Growth Mindsetの人材は「伸びる人材」「挑戦し続ける人材」とも言うことができます。

経営としては、できる限りGrowth Mindsetの人材を(見抜き)採用する。また、社内にいる人材をFixed Mindsetに陥らせない。ということが重要になってきます。


Growth Mindset,グロースマインドセット



会社全体としてGrowth Mindsetをんでいく上では【プロセス承認】ということが重要になってきます。

例えば「テストと小学生とMindsetの関係」でいくと、簡単に言ってしまうと、Fixed Mindsetは「100点だと褒められる」「点数が低いと冷たい仕打ちを受ける」「前回より点数が上がったかなどは問題にされない」という接し方によって、その小学生はFixed Mindsetが強くなっていきます。

逆に当該小学生Growth Mindsetを高めるのは「前回からの伸びを承認される」「自分なりに試行錯誤したプロセスなどを大切に傾聴される」「どんな反省があるのか?などを自分なりに考えさせられる」といった接し方によって、ということになります。

これは、基本的には社会人でも同じように考えることができますので、例えば上司が部下に接する際にも「前回からの伸びを承認する」「部下なりに試行錯誤したプロセスを傾聴する」「どんな反省があるか?などを部下にコーチングする」といったことが、そのまま適用できます。

参考記事:社員が自律自走するコツ Growth Mindset(グロースマインドセット)


しかし、あまりに【プロセス承認】を重要だとばかり主張しすぎると、「本当に結果にこだわらなくていいのか?」という疑念・不安が出てくる方も多いかと思います。

結論から言えば、結果にはこだわらないといけません。「頑張ったし、進んだから、いいよねー」というようなことでは倒産してしまう、というような面も無視してはいけないのです。


これについては別途社員の経営リテラシー・会計リテラシーを高めていくことも重要になります。

参考記事:職場の不満・愚痴を減らし、社員のプロ意識を高めるために必要なこと

「人間が高い成果を出す」
ためのポイント(2)


今回の内容のポイントを整理してみましょう。

【どのような言葉で発信すると社員に響くのか、ビジョンは翻訳する必要がある】

【高い集中力には、①目的が明確であり、②難易度設定が適切であり、③フィードバックがわかりやすく、④環境が整っていることが重要である】

【成長し、成功するのはGrowth Mindsetの人材】



前回に引き続き、やはり「ビジョン」と「コーチング」の重要性が明らかになってきました。

次項では、「生産性の高いチームの要因」や組織が成功する循環、Googleがマインドフルネスを行う理由などについて取り上げます。


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