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マズローの欲求階層説
(自己実現理論)から考える
社員が主体的に働く組織とは

マズローの欲求階層説
(自己実現理論)から考える

社員が主体的に働く組織とは

マズローの欲求階層説(自己実現理論)から
考える社員が主体的に働く組織とは


中堅・中小企業の問題

出典:写真AC



多くの経営者の方が、「社員が自ら目標を設定し、主体的に働いている」状態になることを望んでいるのではないでしょうか。 そしてまた、多くの経営者の方が「社員のモチベーションが低い」「社員の視野が狭い」「社員が自ら考えて、仕事を進められない」といったことに対して、課題感を感じていらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、マズローの欲求階層説をもとに、社員が「自ら目標を設定し、主体的に働いている」状態にするために大事なことをご紹介したいと思います。

社員が「自ら目標を設定し、主体的に働く」
段階は?


マズローの欲求階層説(自己実現理論)は、触れたことがある方も多いかと思います。その名の通り、人の欲求には階層があるとする考え方です。心理学者のマズローが提唱しました。


基本的に以下の5つの階層に分けられます。

・自己実現欲求
・承認の欲求
・所属の欲求
・安全の欲求
・生理的欲求


欲求階層説の重要な点は以下の部分になります。

【下位の欲求が満たされて、自然と上位の欲求が生じてくる】

【下位の欲求が欠乏してくると、上位欲求は減退し、下位欲求が中心となる】 。



マズロー・欲求階層説(自己実現理論)


つまり、こういうことです。生理的欲求(寝る、食べる)などが満たされていれば、次の安全の欲求(安心して暮らしたい、など)が生じてきます。しかし、何日も食べることができていない、ともなれば安全の欲求などいいから、まずは腹を満たしたい。そればかりが欲求として強くなる、ということです。

現代の日本社会において、生理的欲求が満たされていないという人はそれほど多くないと思います。会社員という立場であればなおさらです。


では、次の「安全の欲求」はどうでしょうか?これは、安心して暮らしていたいといった欲求です。「いつクビになるか分からない」「来年もちゃんと生活できているだろうか?」こういったことに”ビクビク”しているようだと、安全の欲求が満たされているとは言えません。

以前の日本企業の中心的スタイルであった「終身雇用」というのは、この安全の欲求を満たすうえでは、非常に効果的であったろうと思われます。 会社員、という時点で漫然とではあっても「会社は来年も存在するし、給料は支払われる」という風に思えているケースが多いかなと思います。

そういう意味では、今も多くの会社員にとって安全の欲求までは満たされていることが多いと考えられます。


それ以上の、所属の欲求、自我の欲求、自己実現欲求についてはどうでしょうか?


まず所属の欲求ですが、これは「居場所がある、仲間がいると感じられていること」というようなものになります。これに関してはどうでしょうか?

実は、社員の「所属の欲求」を上手に満たせていない会社組織はたくさんあります。 「自分は歯車のように感じる」 「職場に”仲間”と思える人はいない」 「他部署とは”関係がない”」 「職場の人間関係がストレスだ」 といったように。

人々が「自ら目標を設定し、主体的に働く」といった状態を、多くの経営者は望みますが「主体的に働きたい!」というのは、次の段階の承認の欲求レベル以上のものです。その手前の所属の欲求が満たされていなければ、これらの欲求は生じてこないのです。(下位の欲求の充足が、優先されるのです)

そう考えると、職場の人間関係が向上するように配慮することが、マネジメントにとっていかに重要かが見えてきます。職場の人間関係(上司部下の関係、同僚同士の関係など)がギスギスしているレベルであると、人々は自分の才能を発揮して主体的に働いていくことは難しくなるのです。


ですから「職場の隣の人なんて仲間でもなんでもない。単にたまたま仕事上の役割分担をしている関係。こっちの負担が増えないように、押し付けられないように気を付けないといけない」といった状態を超えて「この会社は自分の居場所で、よき仲間たちと協働している」といった認識が生まれるようにしていく必要があるのです。


そのためには、業務上直接関係のない、個人的な関係を育むような時間・場を持つことが大切になります。少し前の日本的職場では、「社内運動会」「社員寮」「社員食堂」「喫煙室」「飲ミュニケーション」といったものが、これらの役割を果たしていたものと考えられます。

旧時代的なそれらの施策ををそのまま採用するのは、風潮にそぐわないところもあるでしょうが、成功している会社では現代風にアレンジして「ランチ会」「四半期ごとのパーティ」「社内チームビルディングワークショップ」などを実施していたりします。


チームワークを高めていく手法につきましては、会社・組織の「チームワーク」をいかに具体的に高めていくか?の記事も参考にしてください。

チームワークのよい職場



こうして所属の欲求が満たされてくると、生じてくるのが「承認の欲求」ということになります。この承認の欲求というのは「自己肯定、自己尊重」といったもので、自分の才能を生かして、自分らしく仕事をしたい、それができているという風に実感できることが重要になります。

この欲求レベルを、自分の動機として仕事をしているとき、人は「イキイキと働ている」と言える状態にかなり近いことになります。ですから、全社員が所属の欲求までは満たされていて、承認の欲求以上のレベルで仕事ができる職場であるというのはかなり理想的な状態になります。


最後の「自己実現の欲求」の状態とは?


最後の「自己実現の欲求」ですが、これはマズローが言っているのは「真善美の追求」という欲求です。一般的に「自己実現」というと自分らしく生きるというように解釈されがちかと思いますが、これは欲求階層説でいうと承認の欲求なのです。

世のため、人のため、より善きこと、より美しいものを実現していきたい。その実現が自分の喜びだから。そう思っている状態が「自己実現欲求レベルで生きている」ということです。 マズロー自身は「実際に、自己実現欲求レベルで生きている人は多くはない」と言っています。

ですから、全社員がこのレベルでいるということを望むのは、少々高望みと言えるかもしれません。

参考資料:マズローの著作「人間性の心理学」「完全なる人間」


最初に申し上げたように、重要な点は 【下位の欲求が満たされて、自然と上位の欲求が生じてくる】 【下位の欲求が欠乏してくると、上位欲求は減退し、下位欲求が中心となる】 ということです。

自社の、現状の欲求レベルをよく見て「しっかりと下位から満たしていく」ということを、マネジメントとしてもよく考えて手を打っていくことが重要でしょう。



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【コラム】新しい組織のカタチからみる
主体性の鍵

【コラム】新しい組織のカタチからみる
主体性の鍵


参考として、「働きがいを取り戻す」「生産性を飛躍的に向上させる」ための、新しい組織のカタチ(対話型組織)について、ご紹介したいと思います。

これからご紹介する内容は、すべての会社ですぐに導入できるものではないかもしれません。けれど、これからの経営の未来のひとつのカタチとして、ご興味がございましたら、参考までにご覧いただけたら幸いです。


「やりたいことをやり、やりたくないことはやらない」とき、何が起こるか

働きがいを取り戻す、生産性を飛躍的に向上させる、一つの鍵は、「やりたいことをやり、やりたくないことはやらない。」です。

やりたくないことを、嫌々やっていて、質の高い仕事ができるわけもありませんし、生産性が高まるはずもないからです。 このことを強調すると、「そうしたら、社員はあれもやりたくない、これもやりたくないと言い出して、何も仕事をしなくなるんじゃないか?」と心配される方もいます。

実際に、「やりたいことをやり、やりたくないことはやらない。」と伝えると、「あれもやりたくない、これもやりたくないと言って、ほとんど何も仕事をしなくなる社員」は発生したりします。(あまり多くはありませんが)


しかし、もちろん、それが売上に絡むことであれば、それに紐づく売上配分はないので、「やらないのであればその社員の給与原資は増えない」ということにはなります。仕事をしないので、給料はもらえないのです。

(よほど成果主義的な報酬制度でないと、現実的にこの部分を連動させることができないので、この考え方を会社に導入するためには工夫が必要になります)(とはいえ、自分の仕事と給料、会社の売上などの経営・会計構造を社員が充分に理解していることは非常に重要です)

参考記事:職場の不満・愚痴を減らし、社員のプロ意識を高めるために必要なこと


やりたくないことをやらせるなんてことはできません。奴隷じゃないんだから、やりたくなくてもいいからやれなんて、人間を尊重していたらできません。 「その仕事はやりたくもないし、その仕事から発生する収入も放棄する。」というのは十分に大人の自立的な判断です。

しかし、これまでのヒエラルキー型組織では、これがほとんど機能しませんでした。「仕事なんだからやれよ」「給料もらってるんだからやれよ」ということが、ある意味、前提として横たわっていたわけです。

これは大袈裟かもしれませんが、ある意味奴隷のような扱いです。「あなたの時間・行動はすでに買い取ってありますので、全て命令に従いなさい」というようなことです。生産性が高まるわけがありません。


けれど、もしも、大人の主体的な選択 として「やりたくないから、やらない」を社員が選べるとしたら?

中堅・中小企業の問題

出典:写真AC


やりたくないから、やらない。しかし、仕事をしないので、給料ももらえない。

そうなったとき、当該の社員は考え始めます。

「困ったな。」と。


給料は欲しいけど、仕事をしたくはないぞと。 結局、お客様に認められる仕事、仲間に認められる仕事をして初めて給料が手に入ります。(上司に認められる仕事、ではありません)「給料が欲しい自分」を大事にしようと思ったら、やりたくなくてもお客様や仲間のために頑張るしかなくなります。 そして”自分で選んで”何かの仕事をやるようになります。


そして、このように社員が主体的に仕事をし始めた時、大切なのが「仕事での貢献を、認知し、伝えること」です。

「あなたの貢献で、お客さんが喜んでくれていたよ」とか、「あなたの貢献によってチームメンバーが助かったよ」といったことを、しっかりと伝えるのです。自分の仕事が貢献として認められ、感謝されるということが、嬉しくない人はあまりいません。

こういった貢献を認め合う場をしっかりと持つことで、本質的な「仕事への能動性」が、社員一人一人の中で高まっていくのです。 また「以前より成長したところ」を、自分自身や周囲が認知し、伝え合うということもとても意味があります。

「より良くなりたい」「より良くしたい」「より良い仕事がしたい」という本質的な欲求を、人は持っているものです。 その気持ちが自然と育まれるような環境づくりは大切なのです。

こうして文化を育んでいくと「やりたいことをやる。やりたくないことはやらない」ということが、極めてスムースに組織の中で まわっていくようになります。


自分たちで話し合って作っていく
新しい組織 のカタチ

ここまでくると、自分がやりたくないことを、やりたいと思ってやってくれる人がいることも、大変ありがたい感じになってきます。そのピースが欠けていると仕事として完成しない、ということが多々あるからです。

「やりたくない」ということも素直にすっと言えるようになりますし、周囲も「そうか、やりたくないんだね」とすぐ受け止められます。お互い様ですからね。受け止める側も「自分のやりたくないことは、やりたくないと言っている」状態ですから。

そして「やりたいこと」を磨いて、お客様や仲間に貢献しようと努力することになります。 また、時には「みんながやりたくないって思ってるけど、やらないと仕事として完結しないこと」に出くわして当事者全員で「うーん、誰もやりたくないけど、どうしようかねぇ」と悩んだりもします。


この”全員で悩む”というプロセスも、チームワークの向上に深く寄与します。 新しい組織のカタチ(対話型組織)では、評価基準も現場の人間一人一人考えて、お互いを評価しあって報酬を決めることになります。

ですから「やりたくないやりたくないと言って何も貢献しない人」にはとても厳しい相互評価が下る可能性もありますし、「急に病気になっちゃって、しばらく仕事できないけど、今まで頑張ってくれてたし、今は直接の貢献はないけど、病気から復帰するまで、みんなで収入面でも支えてあげよう」といった分配ロジックになる場合もあります。

「やりたくないからやらない」ということや「貢献したいのに、事情により貢献ができない」ということに対しても、チームメンバーそれぞれが探求して「こう考えるのが一番いいのではないか?」という最適解、納得解を、各チームで生み出していくことになります。


これは例えて言うなら「学ぶ目的も、授業の時間割りも、校則も、生徒たちが自分たちで考えながら作っていく学校」のようなものかもしれません。決まった授業を一方的に教わるよりも、ある意味大変かもしれませんが、とても主体的に参加できる場なのです。



いかがだったでしょうか。このとおり、コラムでお伝えした内容は、今すぐに会社でそのまま導入することはあまり現実的ではないかもしれません。もしも要素を一部導入するとしても、会社の規模や事業内容によって難しさが異なります。

一方で、今回お伝えした新しい組織のカタチの企業が、成長し始めている事例もあります。

アメリカシューズEC最大手のザッポス社が導入したことで有名になった「ホラクラシー経営(ホラクラシー型組織)」は、働く時間・場所・休みは自由であり、「人を管理しない」「会計はフルオープン」「給料はチームの話し合いで決める」など、従来のヒエラルキー型組織に代わる新しい経営手法として注目されています。

株式会社Co-ducationでは、このような新しい組織のカタチ関する情報もどんどん発信していく予定です。今後の記事もお楽しみに。


[2018/01/25公開 執筆者:石川英明]



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