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自己分析の極意

自己分析が必要な理由

自己分析は就職だけでなく、キャリアを形成し続ける上で、引いては自分の人生を充実させていく上で極めて重要だと思います。その理由について考えてみたいと思います。

知識社会への移行

人類の産業史を大きく捉えた時に、農業の時代、工業の時代、知識の時代と分類することがよくあります。今私たちは知識の時代に生きています。

工業の時代はストックの時代でした。アイディアよりも、アイディアを実行に移す資産があるかないかが、経済的な勝因になっていました。工場などの物理的施設を保有するだけの資産がなければ、経済的に圧勝することはできませんでしたし、逆にその資産をもっていれば、10年20年と長い期間、そこから上がる利益を享受することができました。

工業の時代の産業は、これからもそう簡単にはなくなりません。自動車産業などを代表とするいわゆる「メーカー」は規模の経済が働く産業です。触れる"モノ"を創りだす産業においては、工業の時代のルールがしばらく適用され続けるでしょう。

しかし、ビジネスの場における付加価値は明らかにモノからサービス(物理的に触れることはできないもの)に比重が移っています。それはつまり、働くビジネスパーソンにとってみれば、"頭"や"心"で勝負する必要がでてきているということになります。

なぜそのような変化が起きているのか。一つの大きな理由は工業製品の発達です。昔は例えば自動車を作ろうと思ったら自動車の職人がたくさん必要でした。多くの自動車を作ろうとすれば、より多くの自動車技術者が必要になりました。言い換えれば人手が必要だったのです。

しかし工業製品が発達した結果、多くの職人は必要性が大きく減りました。極端に言えば、1人の優秀な設計者がいて、その設計書どおりにロボットが自動車を作ってくれる時代になりました。だから、実際に自動車を作る、つまり板金をしたり、ボルトを締めたり、そういう仕事は極端に減ってしまいました。

こうして徐々に知識の時代への移行が進んでいる途中にインターネットというものが出現しました。

知識の時代でのインターネットの意味

インターネットは知識の時代において、恐ろしい革命をもたらしつつあります。一つの例として会計士について考えて見ます。

まずこれからの会計士はこれまでの会計士ほど安穏とはしていられないのは間違いありません。理由は大きく二つあります。一つ目はネット上に存在するレベルの情報提供では付加価値がなくなってしまってきているということです。重要なのことは、誰かがネット上に情報提供をしたらその瞬間、情報格差は商売のネタにならなくなるのです。もう一つは通信コストがゼロに近づいているため、世界中の会計士がライバルとなりうるということです。

今やGoogleを筆頭に検索エンジンの能力の向上はすさまじいものがあります。何か会計の疑問が浮かび、検索までに質問を投げかけ、1秒もしないで適切な情報を取得できるようになれば、"知らない知識を教えてくれる会計士の先生"に高いお金を払う人は激減します。実際にそれが起きつつあります。

またSkypeなどの無料通信機能が整備されている世の中では、日本国内だけがライバルではありません。日本の会計に精通し、日本語を勉強したインド人や中国人、これからブラジル人やロシア人もライバルになります。会計領域についてネット上の検索では手間がかかりすぎたり、自分個人の問題が解決できない時に、やはり専門家に相談したくなるときはあるでしょうが、同レベルの知識があるインド人会計士が半分の価格でコンサルティングをしていたら、自分の仕事はなくなってしまうでしょう。

つまり、インターネットが当たり前になっているこれからの社会では、世界中のライバルを相手にしながら、かつネット上で手にいられる情報以上の価値を提供し続けなければ、ビジネスが成り立たなくなってくるわけです。

大競争から脱却するビジネス領域

これまで書いてきたことは決して大げさなことではなく、既に起き始めている現実であり、これから社会人になるみなさんは、覚えておかなければならないことです。

とは言え、こういった大競争から少し隔離されたビジネスも存在はします。例えば町の定食屋さん。物理的距離という絶対的な制約条件を持っているため、世界中の競争にはさらされにくいわけです。学校の帰りに気軽にパリまで飛行機で飛んで、サンドイッチを食べる、ということはどこでもドアが完成しない限り考えられませんね。

自分のキャリアを考える上で、物理的制約に比較的守られている仕事をするか、世界中にライバルがいる仕事をするか、ということは考えてみる必要があると思います。

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自己分析の重要性が高まっている

このような時代に生きるみなさんにとって自己分析をする重要性は非常に高いはずです。世界中のライバルやテクノロジーの進化を相手にして"成長し続ける""価値を提供し続ける"ことが求められる、いうなればフローの時代では好きこそ物の上手なれということが非常に重要になるからです。

今の時代の自己分析は「大好きなもの」「やり始める夢中になって時間を忘れてしまうもの」を思い出したり見つけたりするために行うというのが第一義です。昔は好きなことを仕事にしなくても価値を提供することができました。それほど競争が激しくなかったからです。しかし、これからは世界中のライバルやテクノロジーの進化を相手にして自分自身を成長させ続けなければ稼げなくなっていきます。

そういう状況では「いやいや仕事をする」というのでは続きませんし、楽しみながら、寝る間も惜しんで仕事をしている世界中のライバルに太刀打ちできません。だから仕事≒好きなものという図式を成り立たせる重要性が非常に高くなっていますし、そのためには自分が好きなことを把握すること、それを現実社会とすり合わせることが、これまでになく重要になるのです。

意志とイノベーションの時代

知識社会とインターネットの出現による社会構造の変化は、決して大げさではなく人類に本質的なインパクトをもたらし始めていると思います。これからの時代は、意志とイノベーションの時代です。コピーや模倣はテクノロジーの得意領域であり、人間はそこで太刀打ちができなくなってきています。知識においてすらそうです。どんなに新しい知識でも、ネット上で文章化されれば、もうそれはコモディティ化し、陳腐化して始めてしまいます。

これからの時代を生きる私たちは、イノベーションを起こし続けることで社会に価値を提供していくことになります。イノベーションを起こすのは一人ひとりの意志です。「こういう社会を創りだしたい!」「こういう社会に変えていきたい!」「こんなものがあったら面白いのに!」一人ひとりのそういった思いが、社会的価値の本質であり、人間の本質であることが浮き彫りになる時代を私たちは迎えようとしているのです。

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