Vol.17 社員に会社の方向性が見えないと言われました(後編)
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今回のご相談内容
ビジョンや全社の目標といったものについてお聞きしたいことがあります。
当社では、明確にビジョンを示しているにも関わらず、先日ある社内アンケートを行ったところ
- 「会社の方向性が見えない」
- 「目指すところをはっきりと示してほしい」
といった声がそれなりの割合で出てきていました。
正直なところ、ショックがありました。どうしてこのようなことが起こってしまうのでしょうか?
石川からのご回答
このご質問に対しては、二つの層の回答があります。
一つは「ビジョンを示しているつもりでも、その意味合いをしっかりと浸透させるにはかなりの努力が必要です」ということです。もう一つは「社員から方向性が見えないといった意見が出てくる場合、ビジョンの問題よりも直属の上司とのコミュニケーションの問題の可能性があります」ということです。
今回は、前者の視点からご説明します。 ※前回のメルマガはこちら
目標が「腹落ち」しているか
例えば「3年以内に年商30億円達成を目指す!」といった目標を掲げたとしても、全社員がその目標が「腹落ち」しているかというと、そんなことはありません。
これは以前、ある経営者の方のご相談にのっていたときに聞いたことです。
「そうした目標に対して誰もついてきていない。正直、自分以外は誰もそれを目標として本気で頑張っているようには見えない。。。困ったものですね。。。」
このような状態は、残念ながら割と起こりがちなのです。
社長からすれば「3年以内に年商30億円達成するぞ!」というのはワクワクする目標かもしれません。
それは、会社が成長すること自体が喜びかもしれませんし、社員数が増えることが喜びかもしれませんし、年商が拡大して役員報酬が増えることがイメージできるかもしれません。はたまた、社長同士の集まりの場で「30億円までいったの!すごいね!」と賞賛されることが想像されるかもしれません。
つまり、ただの年商30億円ではないわけです。社長にとっては。
社長にとって年商30億円達成は・・・
- 会社の成長(の喜び)
- 社員数増(の喜び)
- 役員報酬増
- 他の経営者からの賞賛・尊敬の目
というような意味合いがイメージできていたりするわけです。
しかし社員のAさんにとっては、年商30億円達成は・・・
- 会社が、大きくなること?
- 新しい人が増えて、人間関係が大変になる?
- 仕事量が多くて、ノルマが大変?
くらいのイメージしか湧いていなかったりするわけです。
【社員目線】の
素晴らしい点も伝えていく
そういうときでもアンケートを取ると「目指すところを示してほしい」といった回答になることがあります。「30億円達成したら、給料がいくらになるのかちゃんと示してほしい」とはなかなか書かないからです。
このような場合は、年商30億円を達成したときの【社員目線】の素晴らしい点も伝えていくことが重要です。
例えば・・・・
- 社員数が増えて「部下を持つ・育てる」という経験を積める!
- 利益額が向上すれば、給料が増える!
- 業務内容の幅が広がり、いろんな仕事に挑戦するチャンスが増える!
- それだけ評価してくれるお客様がいることは、誇りに思えることが多い!
- 業界内で目立った存在になり「●●社なんですね!色々教えてください!」と言われることになる!
・・・というようなことも、伝えていったり、社員自身に想像してみてもらったりすることが重要になってきます。
このあたりのことがイメージできてくると「3年以内に30億円達成!」という目標に対しても、社員も「ハッキリと方向性を示してもらえている」というように感じやすくなってくるのです。
単純に「年商30億円」だけでは、社員にとってはノルマにしか思えない可能性もあります。
しかしその目標達成が、社員にとっても素晴らしい価値が多々ある、ということをプレゼンテーションしていくことは、組織のリーダーたる経営者にとって、とても重要な仕事になるということです。
ご質問に対する回答は以上となります。
[Vol.17 2018/07/17配信号、執筆:石川英明]
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