Vol.103 「みんなで考えて話し合って決めて動ける」組織になる

今回のご相談内容

ある程度のヒエラルキー構造はあっていいと思いますが、基本的にはみんなで考えて、話し合って決めて動ける会社になっていきたいと考えています。

そういう会社がいいと思うのですが、Teal組織や自己組織化などいろいろな新しい組織論を読んでも、自分が思い描いている会社の状態といまいち一致しているような感じがしません。

石川からのご回答

「みんなで考えて話し合って決めて動く」会社

結局私は何をご支援しているのかと考えると、【民主主義】というのがキーワードだなと思います。

現在は、多くの国が民主主義国家で、民主主義というのはとても大事にされている共通の価値観みたいなところがあると思います。

けど、この民主主義というのがどれほど機能しているかと言うと、それほど美しくは機能していないと思いますし、まだまだ歴史が浅く、人類として試行錯誤している最中なんだろうと思います。
   

民主主義は、まさに今回ご相談いただいた「みんなで考えて、話し合って、決めて、動く」というような定義かと思っています。

でも「みんなで考えて、話し合って、決めて、動く」ということ自体に、私たち自身がまだまだ不慣れです。

学校に入ると、多くの学校では校則は決まっていて「みんなで校則を考えて、話し合って、決めて、動く」というようにはなっていない。

会社に入ると、多くの会社では人事制度などは決まっていて「みんなで人事制度を考えて、話し合って、決めて、動く」というようにはなっていない。
   

そういう単位でも実践経験を経ていないのに、もっと大きな国という単位で議会制民主主義を機能させていくというのは、大変難しいところがあると思っています。市区町村、都道府県という単位でも、民主主義を機能させるのはなかなか難しさがあるように思います。

一方で、今の社会では、「民主主義の実践の場」としては、会社という単位がとても現実的で取り組みやすい、成果も得られやすいとも思っています。
   

出典:写真AC

会社の民主化を進める上ではずせないこと

「誰かが勝手に決めた規則に、従うか、従わないか」の二択ではなくて、「自分たちで規則そのものを作り出していく」ということが大事で、そのプロセスを丁寧に行うことは、とても価値のあることだと思っています。

長年ご支援させていただいている会社さんには、社員さん発案の制度がたくさんあります。

半日有給休暇、時間単位有給休暇、長期休暇、評価制度そのもの改良・・・などなど、「私達」にとってどういうものが最善か?ということを探求し続けて、実際に会社に制度などに落とし込んでいっているのです。

当然、働きやすい会社になりますし、働きがいのある会社にもなります。社員満足度は高く、離職率も低い。

そして何より「会社をより良くしていこう」「よりよい仕事をしていこう」というポジティブな空気が充満しています。自分たちで、それをやってきた自信があるのですから、当然と言えば当然です。
   

「もっとこうした方が、うちの部署は働きやすいのに」

「よし、それを部長に提案してみよう」

「もっとこうした方が、部署間の連携も上手くいくのに」

「よし、それを部長陣に提案してみよう」

それで関係する人たちが集まって、熟議して、決定する。

これは成熟した民主主義だと思うのです。
   

国という単位の民主化はハードルがあっても、会社という単位の民社化は、結構取り組める。自治体という単位の民主化も、頑張って取り組める。会社の民主化が進んだたら、社会の民主化も進んでいる。

そんな風に思っているなと思います。
  

【私達】のことについて考えて、話し合うということは負荷がかかることでもあると思います。

でも、例えば「私たちの会社の人事制度」について私たちが話し合って決めたとすると、本当にその人事制度は大切にされますし、機能します。

意見の違う人が入ってきたら、またその意見も聞いて、変えるところは変える、変えないところは変えない理由を確認する。

そういうプロセスがあることで「やらされ感」「無力感」「理不尽さ」みたいなことは【私達】の中からとても減っていきます。Growth Mindsetが育まれていきます。
   

では、実際にどうようなご支援を普段私たちがしているのか、どのように対話によって民主化を進めていけばいいのかについては、今回の記事だけでは書ききれないため、HP上や10日間の無料メール講座などにて詳しくご紹介しています。

組織づくりの基本知識 >>>
http://co-ducation.com/philosophy/

10日間の無料メール講座 >>>
http://co-ducation.com/mail-course/

いつも最後までご覧いただき、ありがとうございます。

  

[Vo103. 2021/12/14配信号、執筆:石川英明]