Vol.118 「言われたことをやる」状態の社員に変わってほしい
Contents
今回のご相談内容
「社員に主体的に働いてほしい」
「能動的に、動いてほしい」
「言われなくても、自分から考えて動いてほしい」
「視野を広げて、自ら問題を見つけ解決していってほしい」
今回は、多くの経営者や管理職からご相談される「言われたことをやる」状態の社員に変わってほしいというお悩みについて回答します。
石川からのご回答
「言われたことをやる」状態の社員に変わってほしい
多くの経営者の管理職の方たちから、前述したようなご要望をいただきますが、一方で、社員の方々は「仕事とは、言われたことをやること」と思っている場合が非常に多くあります。
会社の達成すべき予算があって、その予算達成のためにやるべき仕事を指示されて、指示されたことに100%対応できればA評価で昇給し、指示されたことができなければ低評価になり、昇給しない。
「それが仕事というものだ」と思っている社員の方々はかなりいらっしゃると思います。
仕事とはお金を稼ぐ手段でしかないという考え方
仕事とは、お金を稼ぐ手段でしかない。サービス残業をして「時間は使っているのに、お金はもらえていない」などということはもってのほかである。むしろ、仕事に使う時間はできるだけ減らしていって収入は増やしていきたい。
収入
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労働時間
この比率を高めることが重要である。
・・・と考えているとすると、最初に書いたような経営陣や管理職陣の期待するような姿勢・意識ということを持つことは非常に難しいでしょう。
そしてこの考え方の中で「労働時間はコントロールできない(自分だけ15時に帰るとかできない)」「給与も、それほどコントロールできない(倍成果を出したら、給与が倍になるわけではない)」という構造があったときに、
「結局労働時間は減らせない。オフィスには9-18時でいなきゃいけない。かと言って、頑張れば給料が上がるかというとそんなに簡単には上がらない。だったら、そこそこ仕事をして、損しないようにしないと。」
というような発想が生まれ、強化されていくということはざらにあることだろうと思います。
この「時間もお金も、ほとんど自分ではコントロールできない」という構造自体を変えようとしている、変えてきている企業もあります。Teal組織とか、ホラクラシー経営とか言われている会社はそうです。
ただ、多くの企業でこの構造自体の変化に取り組むのはなかなか大変でしょう。
上場しているとか、グループ企業であるとか、様々な制約から「現実的でない」となることはあることかと思います。
職場で過ごす時間という価値
では、給与制度や就業規則などの構造的なところに取り組めなければ
「社員に主体的に働いてほしい」
「能動的に、動いてほしい」
「言われなくても、自分から考えて動いてほしい」
「視野を広げて、自ら問題を見つけ解決していってほしい」
といった願いを叶えることはできないのでしょうか?
【仕事とは、お金を稼ぐ手段でしかない】
この考え方を打破できれば、変わってきます。
仕事は「単に稼げればいい」だけではありません。
「技術の仕事が好き」
「仲間と助け合えたときの喜びがある」
「成長した実感がある」
「困難を乗り越えられた充実感がある」
「お客さんが喜んでくれた時に本当にうれしい」
・・・などといった側面も持っているのが仕事です。
もし「今の給料の1.1倍出すから、独房で誰とも喋らずに1年間過ごして」と言われても、それを積極的に選ぶ人はあまりいないだろうと思います。
それはつまり「職場で過ごす時間の質」のことも、実はみんな本当は大切にしているからです。
社員の「仕事とはこういうものだ」をアップデートする
もちろん給料は高いに越したことはないでしょう。残業時間も少なく(サービス残業などもってのほか)、プライベートも充実していた方がいいですね。
しかし、その上で
・お客さんに喜んでもらえる
・仲間と上手く連携できている
・成長する機会がある
職場なのと、
・お客さんに喜んでもらえている実感がない
・職場の人間との人間関係は悪い
・仕事の裁量もなく面白味もない
職場なのでは、
基本的に、前者の職場で働きたいと思うものです。
ここで「仕事はお金を稼ぐ手段である」という思考パタンが、足を引っ張ることがあります。
「どうせ同じ給料なら、お客さんに喜んでもらえるように努力するのも、仲間と連携できるように努力するのも、自分自身の成長のために努力するのも、全部損である」
といった発想に陥ってしまうことがあるわけです。
しかし、本当に損をしているのはその発想に陥ってしまっているご本人だったりします。
そのことに気づき、そこから解放されるような支援ができると「言われなくても、自分から考えて動く」というような動きは、とても自然に出てくるようになります。
いつも最後までご覧いただき、ありがとうございます。記事に対する感想や質問などもいつでもお待ちしております!
[Vo118. 2023/09/12配信号、執筆:石川英明]