自社にとって優秀な人材を獲得する
【採用】プロセスとは?
自社にとって
優秀な人材を獲得する
【採用】プロセスとは?
こんにちは!メール講座9日目です。あと2日になりますね。今日もよろしくお願いします。本日は会社がある程度大きくなってきたときには避けられない「採用活動」についてです。
そもそも会社にとって「理想的な採用ができた」というのはどういう状態なのでしょうか。
このような状態であれば、それは「理想的な採用ができた」ということになるでしょう。
逆に、
× 入社した人材が活躍せず、成果が出ていない。
× 活躍して成果を出していた人材は辞めていってしまっている。
× 採用した人材が「使える」ようになるには、受け入れ部署に多大な負担がかかる。細かに業務スキルを教える必要があり、教えてもなかなか習得しない。
このような状態であれば、「その採用は上手くいっていない」ということになるでしょう。
つまり、採用の成功というのは「採用した人材が入社後に活躍する」というところまでいって成功したと言えるわけです。例えば「東大卒が採用できた」とか「大手企業出身者が採用できた」というような、一見「採用が成功した」と見えるようなものでも、入社後に「あの人、全然活躍できていないよね」というようなことになれば、その採用は成功したとは言えません。
今回は「本当に成功したといえる採用活動」をするために必要な観点を講義していきます。
マズローの欲求階層説で考える
採用活動の種類を知る
会社を活性化する上で、どのような採用活動行うかも重要な要素の一つです。採用活動にはいくつかの種類があります。
求職者が、会社を選ぶ際の動機の種類として、マズローの欲求階層説に沿って考えると、まず安心欲求人材、生理的欲求人材がいます。この求職者たちが求めているのは「ちゃんと食べれて、ちゃんと寝れる」「ちゃんと安心してお給料が入ってくる」「会社が潰れないで、生活が守られる」といったことです。
もし、会社が求人広告において「長年業績が安定しています!」「給与水準も業界水準、地域水準の方で高い方です!」といったことを強く打ち出していけば、それらの要因に惹きつけられる人材が応募してくることになります。
こういった領域で行う採用のことを、待遇採用と呼んでいます。安心欲求人材にとって重要なことは、会社から与えられる待遇面ですから、より待遇の良いところに転職できるとなったら転職してしまうということも起こりやすくなります。
所属欲求人材や、自我欲求人材が求めているのは「いい仲間たちと働ける」「裁量をもって働ける」「自分らしく働ける」といったことになります。
もし、会社が求人広告において「こんな気持ちのいい仲間たちがあなたを待っています」「一人一人に裁量が任されていて、やりがいがあります」といったことを訴求していけば、それらの要因に惹きつけられた人材が応募してくることになります。
こういった領域で行う採用のことを、社風採用と呼んでいます。社風採用をしっかりと行えると、離職率は低くなります。「自分に合った会社で、裁量をもってやりがいを感じて働けている」となった場合には、離職する必要性はぐっと下がるからです。
自己実現欲求人材が求めていることは「社会に役立つ事業に貢献する」「自分が情熱を感じている領域で仕事をする」といったことです。
もし、会社が求人広告において「当社は、こんな未来を創造するために事業を行っている」「私たちは、この課題の解決の同志を求めている」といった発信を行っていけば、それらの要因に惹きつけられる人材が応募してくることになります。
こういった領域で行う採用のことを、ビジョン採用と呼んでいます。ビジョン採用は、後述するように「求職者の母数が少ない」という難しさはありますが、ビジョン採用にしっかりと取り組んで採用ができると、入社後に、事業の成長を牽引してくれるような人材を獲得できていくことになります。自己実現欲求人材は、内発的動機から動いていくので、アメとムチで管理する必要性も少なく、自ら、様々なことに挑戦をしていく人材です。
ちなみに、欲求階層のことでいうと、下位の欲求の方が「より根源的な欲求」であり、根源的な欲求が満たされていると、上位の欲求が現れてくるというものです。ですから、ビジョン採用や、社風採用をするにしても、待遇面を全く無視していいということにはなりません。ビジョンはとても素晴らしいけれど、給与の未払いもしょっちゅう発生し、社員の人間関係もギスギスしている・・・というような会社の状態では、採用もうまくいきませんし、もし採用できたとしても、すぐに離職してしまう可能性が高いわけです。そういう意味では、採用は「入社後に活躍してくれる」というところまで含めて考えなければならないでしょう。
求職者の「量」でいくと、生理的欲求・安心欲求人材>所属欲求・自我欲求人材>自己実現欲求人材、という図式になるでしょう。このこともあって、どうしても「人手が欲しい」といった場合には、数を集めるために待遇採用してしまうことが多くあります。
待遇採用が絶対にダメということではありませんが、悪循環に陥るリスクもあるものです。自社の発展につながる採用をしていきたければ、社風採用、ビジョン採用の割合を高めていくことが大切です。
実例と成功のためにすべきこと
ビジョン採用を
成功させるために
ビジョン採用を
成功させるために
現在はオイシックスと経営統合をした「大地を守る会」という会社がありました。有機農法などに取り組み、通信販売などを行う先駆け的企業でしたが、この会社は新卒学生の応募が引きも切らないという人気企業でもありました。
どういう学生から人気があったかというと、大学で環境問題について勉強してきたような学生です。彼らは、環境問題、気候変更問題について勉強していくと「そういった問題に取り組みつつ、ビジネスとして、持続可能な形で貢献しようとしている会社がある」ということを自然な流れで知ります。
そして、自分もその会社に入って、環境問題の解決に貢献していきたいと願うのです。
これはビジョン採用の好例の一つです。自社が行っている活動(情報発信も含めて)が、企業ブランディングになり、自社のビジョンに共感する人材が、多数応募してくるという状態になっていたわけです。
「大地を守る会」は決して大企業ではなく、待遇面が良かったわけでもありません。しかしそれでも、高学歴の学生、優秀な人材から応募が殺到していたのです。
ビジョン採用や、社風採用を成功させていくために大切なことは、採用活動のためではなく、経営全般として、しっかりとビジョンを打ち出し、風土をよくする活動に日頃から取り組んでいることです。
そして、その実際に取り組んでいる内容を、自社メディアや、採用広告などで発信をしていくことです。
こういったブランディングは、採用活動に対して即効性はそれほどありませんから「短期間に、大量の人材を採用する」といったことにはそれほど、目に見える貢献はありません。しかし、3年、5年といったブランディング活動は、自社の採用活動に対して徐々に影響を増していきます。
特に、ミレニアル世代、Z世代といった若い人材たちはビジョン≒どんな社会的意義のある事業か?といったことを重視する傾向が強くなっており、今後の採用活動においてはますます、ビジョン採用を成功させていくことが求められるようになってくるでしょう。
実際に「採用する」ときに確認したい観点
実際に「採用する」ときに
確認したい観点
採用プロセスで
気をつけること
自社のバリュー(行動指針)と評価制度、そして採用における「求める人材像」は基本的に一貫している必要があります。
採用の段階では、Aという能力を重視するが、入社後の評価制度の中ではAは評価されず、Xという能力が評価される・・・というような状態であっては、折角採用した人材が離職してしまうことも起こります。
評価制度における評価項目を、そのまま採用活動における採用要件にしてしまってもよいくらいです。一部修正などが必要な部分もあるかもしれませんが、基本的には同じものだとみなすべきと言えます。
選考プロセス入る前に、そもそも自社の評価制度を見直すこと、また自社が求める人材像を担当者間ですり合わせるようにしましょう。
採用活動は、応募者が自社にとって本当に優秀な人材かどうかを【見抜く】という側面と、優秀な人材を他社に取られずに自社に入社したいと思ってもらえるよう【口説く】という側面があります。
ビジョン採用における「見抜く」方法の一つに「負荷の大きい課題を出す」があります。例えば「自社の事業領域について、どのように未来を想像していくべきか、1万字以上で述べよ」といった課題を出したとします。そもそも、自社の応募へそれほど情熱がない人材であれば、この課題を提出せずに選考プロセスが終了する、ということも起こるでしょう。
そのハードルを越えて提出された課題に目を通せば、実際にどれくらいの情報を持っていて、普段からどれくらい考えてきているのかが、ある程度見通せます。スキルの高いプログラマーを採用したいであれば、実際にプログラミングを行ってみてもらうといったことも、方法の一つです。
自社にとっての採用要件を明確にし、その採用要件については、それぞれどのような方法を用意すると最も「見抜く」ことがしやすいのか、その採用手法を自社なりに開発していくことはとても重要です。
一方で「口説く」ことも非常に大切になります。
求職者が、1社しか応募をしないということはまずありませんから、複数社のなかで自社が選ばれる必要があります。優秀な人材ほど、他社も欲しがる可能性が高いわけですから、採用プロセスにおいて「応募してきた人材が、採用プロセスを経るにつれて志望度が高まっていく」となるようにしていくことが重要です。
「口説く」のには、応募者との接点での質を高めていくことが重要ですが、まず基本的なこととして、レスポンスが早く丁寧であることが挙げられます。応募者からすると、そのことによって「この会社は、人を大切にしている会社なのだな」と感じ取るものです。レスポンスが遅かったり、雑だったりすると、それだけで「入社してからもきっと雑に扱われるのだろう」と想像します。社風採用という観点からすると、一番押さえておきたい基本です。
ほとんどの採用活動においては面接が行われるかと思いますが、この面接も「口説く」ことに活用していく必要があります。例えば1時間の面接があれば、前半30分を「見抜く」に充てて、面接官が合格と判断した人材には、後半30分を「口説く」に充てるようにします。
30分の中で、どのような点を高く評価したか。自社に入社後にどのようなことを期待するか。といった応募者へのフィードバックもあってよいでしょう。
また面接官自身が、会社の未来に対してどのようなビジョンを描いているか。日々の仕事の中でどのようなやりがいを感じているかといったことを伝えるということも、応募者を惹きつける要因の一つとなります。応募者からの質問を受け付けて、面接官から見た自社の長所や短所について誠実に答えるといったことも、応募者を惹きつけます。
これらの「口説く」といった側面の活動も行っていくことで、自社の採用活動を成功させていってもらえればと思います。
本日の採用について、いかがだったでしょうか。次回はいよいよ最終回、会社活性化のために大事な社長のリーダーシップについて解説します。この後、最後のクイズもありますので、是非そちらも取り組んでみてください。明日もお楽しみに!
Quiz&answer
クイズの答えと
次回への宿題
さて、昨日お伝えしたクイズは以下のようなものでした。
昨日のクイズはこのような内容でした。
ア.優秀な人材を採用するためには理念を打ち出すことが重要である
イ.優秀な人材を採用するためには待遇の良さを訴求することが重要である
ウ.優秀な人材を採用するためには優秀さを見抜く採用プロセスがあることが重要である
このうち最も、効果が低いと思われるものはどれになるでしょうか?
あなたはどう思われますか?このクイズは、明日の9日目のメール講座にて答え合わせをしたいと思います!明日のメール講座をお楽しみに!
「優秀な人材を採用するのに、最も効果が低いと思われるもの」は、待遇採用に当たる「イ.優秀な人材を採用するためには待遇の良さを訴求することが重要である」になります。
もちろん、待遇面は無視できない条件で、欲求階層説的に言うと、より根源的なものではあります。ただ「訴求すべきポイント」かというと、待遇面を一番に押し出す採用の仕方というのは、本文中に書いたようにそれほどお勧めできるものではありません。むしろ、待遇面ばかりを気にする人材が入ってきてしまうといったリスク面もあるわけです。
なお、他の選択肢を見てみると、「ウ.優秀な人材を採用するためには優秀さを見抜く採用プロセスがあることが重要である」はもちろん重要になってきます。優秀さを見抜けなければ、誰に内定を出してよいか分からないわけですから。ただ、採用は「あたなを採用したい」と[御社に入社したい]という両想いになって初めて成立するものですから、優秀さを見抜くという側面だけでは、足りないところがあります。
そうであったときに「ア.優秀な人材を採用するためには理念を打ち出すことが重要である」という側面もやはり重要になってきます。自己実現欲求人材などが「この会社に入って働きたい!」となるには、理念やビジョンといったものをしっかりと打ち出せることはとても重要なことです。
1日目からスタートしてきたクイズですが、今日で最後になります!
明日は10日目、最終日になりますが「リーダーシップ」がテーマです。
ア.リーダーとしてのあるべき姿が大事なので、その姿からズレた言動はしない
イ.リーダーは、公平性を担保するためにメンバーには関わらない
ウ.リーダーであっても不安などネガティブな感情も自己開示する
会社を活性化するうえで、どのようなリーダーのあり方が効果的だと思われますか?アイウ、それぞれを選んだ場合に、組織に対してそれぞれどのような影響があるでしょうか?
ぜひ一度考えてみてください。それでは、明日のメール講座最終回をお楽しみに!
References
引用&参考文献
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著:マズロー、訳:小口 忠彦 1987年 産能大出版部
著:ジーン リップマンブルーメン、 ハロルド・J. レヴィット、訳: 上田 惇生 2007年 東洋経済新報社
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