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個人の意識・スキル
に関するよくあるお悩み
出典:写真AC
「自分の業務について、自分で勉強しない。自分でスキルを高めようとしない」
「自社の業界の状況や、競合の動きなどにアンテナを張っていない。関心がない」
「折角教えても身につかない」
このようなお悩みをよく聞くことがあります。
経営者が求める「理想の社員像」を描くとしたら・・・
- 自身の担当業務に関する学習(読書やセミナー参加など)を自発的に行う
- 知識獲得やスキルアップのための時間確保を自分で行う
- 「より効率的にできないか?」「より成果を出せないか?」と常に考えている
- 実際に学んだことを実業務に生かし、成果を上げている
・・・というようなものになるかと思いますが、なかなかそのような社員だらけということにはならずに、上述したような課題感を感じる方が多いものです。
個人のスキル・意識
についての考え方
仕事のパフォーマンスピラミッド
Co-ducationでは「仕事のパフォーマンスピラミッド」という概念を持っています。
土台となる意欲や仕事への夢や目標
仕事の成果を出す(パフォーマンスを高める)のは、スキル(×集中力)です。そして、このスキルを高めるうえで大切になるのが「意欲(モチベーション)」「仕事への夢や目標」です。
意欲(モチベーション)や仕事への夢や目標の部分が不足している、欠如している社員に対して、スキル・知識のインプットのみを行っていっても(研修などを実施しても)、ざるで水をすくうようなもので、そのインプットはほとんど吸収されません。
もっと学びたい、スキルを高めたい、という思いがないところに、どれほどティーチング(やり方を教えたり、情報提供したりすること)しても機能しないのです。
そして、この「もっと学びたい、スキルを高めたい」という思いをあまり持てていない社員の方というのは意外なほどに多いものです。
経営者の方にはもしかすると想像がしづらいかもしれません。「自分で学んで成長するのなんて当たり前のことでしょう?」「なぜ、それをしようとしないのか分からない」というような感覚の方も多いかと思います。
しかし実際には、そもそも「学習」「成長」といったことに対して肯定的なイメージを持っていない人たちはたくさんいるのです。
それは学校教育での経験などによってもたされたものです。(やらなければいけない意味も分からないまま、テストや宿題を繰り返し”やらされる”ことによって、学習に対するアレルギーが出来上がってしまうのです)
さらに深い土台としての人生観や労働観
「意欲」「仕事への夢や目標」のさらに前提に、より深い土台としての人生観や労働観があります。
人生観が「努力すれば報われる」のようにものであれば、その人材は努力することに抵抗感はないでしょう。逆に「正直者は馬鹿を見る」のような人生観を強く持っていれば、誠実に努力を重ねるというようなことはあまりできないかもしれません。
労働観としても「楽して稼ぐことがだけが仕事の意味だ」と思っていれば、労働時間が短くて少しでも待遇(給料)のいい職場へ転職することばかり考えるかもしれません。実際にオフィスに座っていても、転職サイトばかり見ている人材になったりもします。
逆に例えば「仕事は、社会に貢献して感謝されることだ」というような価値観を持っていれば、社会や顧客からの感謝に値するような仕事をしようと務めることでしょう。
このような「土台の土台」となる人生観や労働観は、採用後に育んでいく変えていくというのはなかなか難しいものがあります。
できないとは言いませんが、かなり難しいでしょう。(もし社員のその領域の支援をしていくとしたら、かなり本格的なカウンセリングの技術と、カウンセリングを行う時間を必要とすることになります)
ですのでこれらの部分については、採用でできる限り見抜くように努め、人生観や労働観が肯定的、前向きな人材を採用していくようにするのが現実的です。
会社と個人のエンゲージメント
次に重要となってくるのが「エンゲージメント」の部分です。これは簡単に言ってしまえば「会社がやりたいと思っていること」と「個人がやりたいと思っていること」がどれほど重なっているか、ということです。
言い換えれば、会社のビジョンと、個人のビジョンがしっかり重なっていることが重要ということです。しっかり重なっている状態を「エンゲージメントが高い」と表現したりします。
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身近な例になってしまいますが、私は以前、就活塾事業の後継者を探していました。自分自身はコンサルティングなどの仕事にシフトしていくために、就活塾事業は誰かに継いでもらうか、たたむかは検討していました。
その時に実際に採用をして、就活事業を継承してもらったのが元取締役の男性でした。
彼のやりたいことはまさに就活塾だったのです。以前からそれをやりたいと思っているということは聞いていました。おそらく、私から事業を譲渡されなくてもいずれ、自分で独立して立ち上げてでもやっていたろうと思います。
そういう人材であれば「この事業をやっていくために努力をして下さい」と注文するまでもないのです。その事業は、本人がまさにやりたいと思っていることなのですから。
実際、彼は、私のなんのモチベーション管理も、スキル育成も必要とせず、常に自家発電の高いモチベーションで、必要なスキルについては自ら本を買って学んだり、セミナーに行って学んだりしていきながら、私がやっていた頃よりもさらに事業を拡大していってくれました。
規模は小さいですが、これは「採用」の理想形の一つと自負しています。
入社後の「教育」や「管理」を必要としない採用ができること。これは採用の理想形の一つです。
仕事のパフォーマンスピラミッドでご紹介した「人生観」「労働観」と「土台となる意欲(エンゲージメント)」部分については、採用時点でできるだけ担保するように努めるべきものとなります。
スキル研修は最後の最後
ここまで、仕事のパフォーマンスを高めるためには、そもそも土台として「仕事の意欲や夢・目標」「人生観や労働観」「会社と個人のエンゲージメント」が重要であることを説明をしてきました。パフォーマンス(成果)を出すための残る要素は、いよいよあと二つ、「集中力」と「スキル」です。
結論を言ってしまえば「スキルを高めるための施策」は一番後回しでよいということになります。
業務上必要なスキルについては、土台の3階層がしっかりしていて、もう一つの「日々の集中力」が高くなる状態であれば、【本人が勝手に学んで高めていく】ことになります。
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私は研修講師の仕事もしていますし、スキル研修の存在自体を否定はしませんが、しかしお客様にも「スキル研修は最後の最後ですよ」ということをお伝えしています。
スキルを高めるには「ネットで記事や動画を探して自分で読む・見る」「先輩に教わる」「社内勉強会を開催して学ぶ」「書籍を購入して読んで学ぶ」「セミナーに参加して学ぶ」「研修に参加して学ぶ」などがありますが、社員個人や、部署単位に「学習予算」を配賦して、その予算を活用して能動的に学んでもらうようにすることがお勧めです。
もう一つの「集中力」については、少し違ったアプローチが効果的となります。
日々の集中力については
- 本人のタイムマネジメントスキル
- 上司の「仕事の振り方」スキル
- 上司の褒める・叱るスキル
の3つが大きく影響してきます。
タイムマネジメントについては本を読んだり、社内で勉強会をしたり、研修を開催したりしてもよいでしょう。
残り二つの上司のスキルについては、これは上司、管理職のスキル向上が欠かせません。
部下の能力に応じて、適切な難易度・量の仕事を振るスキルや、部下の仕事ぶりに対して適切に褒める、叱るスキルというものが、社員の日々の集中力に大きな影響を与えます。
これらのスキルについては上司本人が「そういうスキルが必要だ」「そういうスキルを高めた方が良い」と自分で発見する、認識するということが難しいものでもあるので、会社主導で管理職研修のようなものを用意することも効果的となります。
一般社員のプロ意識を高める
適切な教育を提供することで、新入社員であっても”プロ意識”を高めることは可能です。
通常の学校教育では「給料をもらうとはどういうことか」「プロであるとはどういうことか」「ビジネスで利益を出すとはどういうことか」などについて、しっかりと学んでから社会人になることはあまりありません。
それゆえに、売上、利益、人件費、税金といった経営の基本的な構造について理解がないまま社会人になる人は少なくありません。
また「用意されたカリキュラムに沿って過ごす」ということに慣れているため、「自分の所属している組織全体のについて理解し、考え、主体的に参画する」といった経験もしておらず、それらの観点が育まれていることも稀です。
こういった若手の人材に対して、例えば「試しに、会社の評価制度を自由に作ってみてください」といったワークをしてもらいます。当然、現実的でない穴だらけの評価制度が出来上がってきます。
例えば「出てきた利益を全部賞与にして社員に払いだしてしまう」ような制度を作ってきます。しかし、内部留保がなければ翌年の経営は自転車操業になってしまうわけですから、そのような点を指摘したり、自分たちで気づくような構造でワークをしてもらいます。
こうした体験をすることで、経営の全体像への理解が深まります。簡単にいえば「経営は、そんな簡単じゃないんだな」ということが分かります。これはとても大きなことです。
会社の制度に対する不満を感じたとしても、「代替案を考えるのは実はかなり難しいぞ」ということに思い至り、”不満”としてはあまり感じなくなったりします。
また先行投資(仕入など)をして、顧客からお金をもらって(売上)、始めて給料(人件費)が確保できるといった、当たり前のことへの理解が深まることでプロ意識も高まっていきます。
施策を進める上で
重要になるポイント
スキルの種類に合わせて
学びの場を提供する
仕事で必要となるスキルについては「本人が必要性を認識しやすいスキル」と、「本人が必要性を自覚しにくいスキル」とがあります。
殆どの場合、前者がアプリケーションスキル(専門スキル)、後者がOSスキル(汎用スキル)ということになります。
例えば、広告部に配属され、広告作成をしている社員がいたとします。
その社員からすると「広告作成スキル」を高める必要性というのは認識しやすいものです。やる気があれば、本屋に行って「売れる広告の作り方」みたいな本を自分で買って何冊か読んでみたりもするでしょう。
一方で「タイムマネジメントスキル」や「報連相のスキル」といったものは、その必要性をなかなか認識しにくいものです。しかし実際には業務効率や生産性に対して、大きく影響があるスキルでもあります。
会社で研修を用意してあげる場合には、このOSスキルを中心に用意してあげるとよいでしょう。逆にアプリケーションスキルについては、自主的に主催される社内勉強会などで高めていくようにするべきです。
ビジネスパーソンに共通する必要スキル
Co-ducationでは、どのビジネスパーソンにも必要OSスキルとして4カテゴリ10のスキルを定義しています。
【対自分力】
1.モチベーションマネジメント
2.タイムマネジメント
3.作業スキル
【対人力】
4.共感力
5.発信力
6.チームビルディング力
【対事業力】
7.情報力
8.論理的思考力
【統合力】
9.システムシンキング
10.シナリオプランニング
例えば、入社1年目で、月に1回1要素ずつ学びなら「実践しながら身につける」ということをやっていくと、効果的な戦力アップが見込めます。
どの要素を、どのような方法で、いつやるか、効果的なものを選んで社内に導入していくことがポイントです。
支援事例
研修で経営・会計知識を学び
社員満足度を向上させた例
ご相談内容
年1回社内アンケートを取っているが、特に若手社員から会社に対して給与などの不満が多く、この状況は改善していきたいと思っている。
社長の私からすると、社員の不満は妥当なものだけではなく、本人の経営や会計的視野が狭いから出てきている部分もあり、まずはもっと社員に会社の仕組み…売上、利益、人件費の構造などを理解してもらいたい。
その上で不満を言うだけでなく、どうしていけばいいかを自分たちでも考えられるような人材になってほしい。
ご支援内容
この企業では、新人研修で研修を採用することを決めました。その結果、劇的に会社への不満度が下がりました。
利益は成果で生まれるものであって労働時間で生まれるものではないこと、忙しいからと言って人を増やしたら人件費が増えて利益が減ること、賞与還元を増やし内部留保を減らせば雇用の安定度が下がること、“公正な評価”を行うことがいかに難しくお金のかかることか、などを理解できるよう研修を実施したのですが、効果は抜群でした。
定例の社内アンケートの結果(会社への満足度、給与への満足度、評価への満足度など)は5段階評価で平均約2.5だったのが、平均約4.1にまで向上しました。
離職率も下がり、採用・教育コストが抑制でき、業績(売上・利益)は向上しました。