Vol.61 会議でもっと活発に議論してほしい

今回のご相談内容

部署やチームなど社内会議で、もっと活発に議論してほしいです。

とりあえず言われたから参加しているだけみたいなメンバーもおり、いつも同じ人だけが話して終わることもあります。もちろん、やる気があり積極的に考えて自分の意見を発言をしてくれる社員もいるのですが・・・

他の社員に対して遠慮してしまったり、自分の意見を言うのが苦手なだけかもしれませんが、自分の考えることではないと他人事のようなスタンスで会議に参加しているようにみえる社員もいます。

参加者みんながもっと積極的に発言し、活発に意見交換をしてもらう会議にするには、どうしたらいいのでしょうか?

       

石川からのご回答

会議で活発な議論が起こるには、大きく次の二つの要素が関係します。

1.会議への姿勢・意欲
2.参加者の会議の技術

それぞれ解説していきましょう。
          

1.会議への姿勢・意欲

会議への姿勢・意欲といったものは、

Lv1.土台となる仕事への意欲
Lv2.今の仕事や役割への意欲
Lv3.参加している会議への意欲

と層構造になっています。
          

会議の参加意欲を高める構造

    

Lv1やLv2のところで問題を抱えている場合、Lv3だけ高めようとしても限界があります。「会議での議論が活発でないな、、、」と感じた場合、Lv3の問題なのか、それともLv1やLv2に問題があるのか、それをよく分析してみる必要があります。
      

Lv1:土台となる仕事への意欲

Lv1は「仕事を頑張りたい」「いい仕事をしたい」といった根本的な意欲や姿勢です。

これに関しては入社後に醸成していくこともできますが、なかなか大変な部分でもあります。そういう意味では、採用の段階でよく見ておくべき要素と言えるかもしれません。
        

Lv2:今の仕事や役割への意欲

Lv2の領域は、「今の部署への配属に納得がいっているか」「目標設定の内容に納得がいっているか」といったことが関わってきます。この領域は、配属に関する対話や目標設定の面談の質などが影響するところです。

このLv2でやるべきことをやらずに「会議の質だけ高めたい」ということはなかなか難しいことです。

会議の質を高めようとする前に、まずは社員が「今の仕事への納得感」をどれほど持っているかをチェックするようにするとよいでしょう。配属や目標設定に対する納得度が高まることで、自然と会議が活発になる、ということは起こりえます。
            

Lv3:参加している会議への意欲

Lv1やLv2に関しては十分な水準にあるけれど、会議で活発な議論が起こっていない、というときはLv3について、手を打っていくとよいでしょう。

「この会議に自分は何のために参加しているんだろう?」と疑問が残っている状態では、活発な議論をするというのは大変難しくなります。この会議に参加する意味は●●である、あなたにはこの会議で●●といった貢献を期待している、そういったことを個人ベースで理解できるように、説明していくとよいでしょう。

Lv1,2,3が全て整ったとき、参加している社員からすると「よし、この会議に貢献しよう!」という姿勢で参加できるようになります。
           

2.参加者の会議の技術

意欲としては十分に整っていたとしても、会議の技術が伴わないために活発な議論が生じないということは起こりえます。

会議の技術が低いと

  • 特定の誰かがずーっとしゃべり続けている
  • メモなどが残らず、議論の経緯を追えない

などといったことが生じます。

会議の基本技術として

  • ホワイトボードやプロジェクターなどを利用し議論の内容を可視化する
  • 議題に応じて適切なフレームワークを用いる ※メリット/デメリット、KPTなどなど
  • 「意見を出す(発散)」ということと「議論する(収束)」を明確に分ける

といったことがあります。

会議の技術を高めることで「活発な議論」は生じやすくなります。よく会議の司会進行役を担っている人はもちろんですが、参加者全員がファシリテーションの技術を学ぶことも効果的です。
    

会議に対する心理的ハードルの問題

「前に意見を言ったが、無視された」
「前に意見を言ったが、馬鹿にされた」
「前に意見を言ったが、否定された」

こういった体験が重なっていると「会議で発言したくないな」という心理状態になります。否定した側はそれほど気にしていなくても、否定された方は、心理的に大きなハードルを抱えた状態になるということはよく起こります。

活発な議論を望むのであれば、間違った意見や未熟な意見などが出てきても、それを雑に扱ったり、威圧的に否定などをしないことです。その意見が「間違っている」という場合においても、相手の人格を尊重し、丁寧に理由を説明する、といった対応が求められるでしょう。丁寧な対応が出来れば、適切な人材教育を兼ねることもできます。
   

議論の最中に、そこまで時間が取れないというような場合もあるでしょうが、そのような場合にも「今ここで丁寧に説明する時間はないから、会議のあとに説明します。」といったように、参加者の存在を尊重する対応をするとよいでしょう。

このような配慮がある会議であれば「間違っているかもしれないから、発言しないでおこう」といった発想にならずに、多様な意見が出やすくなり、議論が活発化しやすくなってきます。

会議の場の心理的安全性を高める技術については、こちらの記事で更に詳しく紹介していますのでよろしければご覧ください。

こちらの記事も。

    

今回の回答は、以上となります。

いつも最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

[Vol.61 2020/12/15配信号、執筆:石川英明]