Vol.50 社員間やチーム内で温度差があるときどうしたらいいか?

今回のご相談内容

私としては、部署や課の目標に向かって、また今 立ち上げている新規プロジェクトに対して、がんがん取り組んでほしい。そのためにチームメンバー全員に熱くなってほしいと思うのですが、人によって熱量はさまざまです。

私の他にも同じように積極的になってくれるメンバーもいますが、それほど熱量はなく、やる気がないわけというほどではないけど、自分たちの勢いに対してやや冷ややかにみているような人もいます。

職場の中で社員間に温度差があるとき、どうしたらよいでしょうか?

        

石川からのご回答

組織が「二人以上で成り立つもの」である以上、大なり小なり温度差というものはあるものです。温度差の少ない組織やチームはあっても、温度差のない組織やチームというものはないと言っていいと思います。
   

例えば、サッカー日本代表というようなチームでも温度差はあります。よく言われる「スタメン組と控え組の温度差」みたいなことですね。

全員が、国を背負って勝ちたいと思っているかもしれませんが、でも「試合に出たい」とか「なんだよ、出られないのかよ」とか、個々人の置かれた状況によっても、温度差みたいなものは勿論出てきます。
   

会社で働いていても「むちゃくちゃ頑張る!」とか「出世するぞ!」という熱い人材もいれば、「言われたことを最低限こなして早く帰りたいです」といった冷めた人材もいる・・・・ということは、普通に起こることです。

どんな組織でも起こるこの「温度差」というものは、何が問題になるのでしょうか?
   

出典:写真AC

    

温度差があることで問題になるのは○○

温度差があることで問題になるのは、ストレスです。熱い人にとっては冷めた人はストレスに感じますし、冷めた人にとっては熱い人はストレスに感じます。

ストレスが高すぎる組織は、生産的に仕事をすることが難しくなりますので、このストレスをいかに軽減するかを考えなければいけませんが、

この時に

  • 熱いものと冷たいものを混ぜてぬるくする
  • 全員を熱くする
  • 全員を冷たくする
  • 温度差はそのままにしておく

という対処が、理論上あります。
    

それぞれについてここでは考察せずに結論から申し上げますと、「温度差はそのままにしておく」ということが、多くの場合、最も適切な打ち手ということになります。これは「熱い人もいれば、ちょっと冷めた人もいるよね」という共通認識を持つ、といったことです。

もちろんこの「冷めた人」が、組織の足を強く引っ張るようでしたら対処が必要ですが「言われたことはきちんとやってくれる」「自分からは提案とかがないだけ」というようなことであれば、それほど致命的な問題とはならないでしょう。
   

組織の中の”差”を無理になくそうとすると、むしろ組織の健全性が下がります。

ストレスを感じるのは「自分の状態(熱い)方が正しいのに、みんなは間違っている」というようなジャッジがあった時に、人はストレスを感じるものです。

これが「熱い人もいれば、冷めた人もいる」「同じ人でも熱くなる時もあれば、冷めるときもある」という認知であれば、ストレスを生じさせるようなジャッジ自体が起きません。
  

ちょっと想像すれば容易にイメージされると思いますが、今多くの会社では、かなり多様な雇用形態が存在しています。正社員、アルバイト、派遣社員、シニアの再雇用、会社役員などなど・・・。

もちろん正社員の中でも、「そろそろ転職を」と考えている人もいれば「この会社でめちゃ頑張る!」と思っている人もいれば、「この会社でほどほどに生きていこう」と思っている人もいれば、「親が介護になったから働く時間を短くしたい」と思っている人もいるでしょう。

温度差のない会社を想像する方が難しいと言ってもいいかもしれません。

もちろん少人数の立ち上げたばかりのベンチャー企業などであれば「全員が、徹夜してでも仕事する」という状態だ、というようなことはあるかもしれませんが、それはかなり限定的な状態です。

温度差はあるものだ、ということを受容する。これは重要な観点の一つだと思います。
  

冷めた人も巻き込んで熱くしていくために

その上で「この温度差は問題だなぁ」と思うとしたら、多くの場合は「熱い人」の方が問題意識を持つでしょう。「この冷めた人たち、どう熱くできるだろう?」と。

しかし実際には、まず本当に「冷めている」のかは分かりません。
   

仕事に対する情熱はとてもあるが、子育てとか介護とかそういう理由から時間的な制限があるだけということかもしれません。

「冷めている」ように見えるだけで、それは個人のキャラクターの問題で、大きな声で「頑張りましょう!」とかは言わないけれど、実はものすごくストイックに仕事に取り組んでいるということもあるかもしれません。

まずは、そういう誤解がないかどうかは、よくチェックするとよいでしょう。
   

よくチェックした上でも「なんだかやる気がないな」「もうちょっと、自発的に動いてくれたいいのにな」などと思うことがあったとしたら、そのときは本格的に「エンゲージメントを高める」ことに取り組んでいくといいでしょう。

あるメンバーが、今いち積極的になれない、熱くなれないのだとしたら、それは「熱く取り組もう!」と思うには、何かが足りないわけです。

それは、理念や価値観といった抽象的なものかもしれませんし、報酬への不満と言った具体的なものかもしれません。裁量が小さすぎてつまらなくなっているかもしれないし、上司との関係性に問題を抱えているのかもしれません。

そういった”問題”をしっかりと見極め、取り除いていくことです。

そういうことをせずに大雑把に「お前もやる気出せよ!」と言葉だけを投げかけたところで、ほとんどの場合は徒労に終わるでしょう。
   

実際「みるみる熱くなっていった」というパタンは、何度も見たことがあります。

思いつくところからご紹介すると、ある管理職の方は、リーダーシップ研修を受けて、自分自身の仕事への捉え方が変わったことで、劇的に「熱く」なったというケースがありました。

またある社員の方は、異動がきっかけでマンネリを打破して、急に熱くなったというケースもありました。

またある社員の方は、粘り強く周囲が教育的サポートをし続けた結果、仕事での成功体験が小さく積み重なってきて、どんどんと熱くなってきたというケースもありました。
   

エンゲージメントを高めようとなると「全員一律にこの施策をやればよい」とはならずに、一人一人のエンゲージメント上、重視されるポイントに手を打っていく必要があります。

とはいえ、「ある程度パタン化できる」ものでもあるので、A群にはX策を、B群にはY策を、C群にはZ策を・・・というような対処をすることはある程度できます。

エンゲージメントを図るサーベイなども市場にはありますから「みんなを熱くしたい」みたいな想いをお持ちであれば、こういったサーベイを活用してみるのも一つの手だろうと思います。

     

いつも最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

[Vol.50 2020/09/08配信号、執筆:石川英明]

    

    

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