組織開発 用語辞典:欲求階層説(自己実現理論)

欲求階層説(自己実現理論)とは

欲求階層説(自己実現理論)を説明するのによく使われる階層図は、マズローの著作そのもの中には見当たりませんが、概念的にはそれほど外れた図ではありません。

マズローは、「人間には、根源的な欲求があって、根源的な欲求が満たされると、高次の欲求が現れてくる」と考えました。最近は、成人発達理論なども流行っていますが、マズローのこの「人間研究」は、本質的で普遍的なものだろうと思っています。
    

     

一番根源的な欲求は「生理的欲求」です。寝たい、食べたいといった欲求です。

これが満たされてくると、次に出てくるのが「安全の欲求」です。安心して暮らしたい、ということですが、実社会に合わせて考えると「老後の不安なく暮らしたい」といったようなことも含まれるかと思います。
   

来年もちゃんとお給料はもらえるし、引退後も年金等でちゃんと暮らしていけるだろうと安心感が確立している人は、次に「所属の欲求」が現われてきます。

所属の欲求が主に求めるのは、良好な人間関係です。これは、分かりやすく言うと、「正社員として働いて老後も安心だ、となった人たちは、今度は社内の人間関係に目が向く」ということです。

人間関係の困りごと、悩み事が社内に多いなぁ、という場合は、逆に言えばそれは生理的欲求や安全の欲求が満たされているからそうなっているのです。このようなレベルにある時は、組織の人間関係を良好にする努力をするべき時期だと言えます。
    

社内の人間関係も良好になってくると、今度は「承認欲求(自我欲求)」が強くなってきます。個性を発揮したい、自分らしく貢献したい、敬意を得られるような仕事をしたい・・・といった気持ちが強くなってきます。このような段階からいわゆる”プロ意識が高い”人材と呼ばれるようになることが多いでしょう。

承認欲求まで満たされてくると、最後に出てくるのが「自己実現欲求」です。この欲求について、マズローは「真善美の追求」と説明しています。
    

会社組織でこの理論を活用するポイントとしては、まず、社員が10名以上にもなれば、ほとんどの場合人材の多様性があり、様々な欲求(レベル)を持った人材がいるようになる、ということを認識しておくことです。

例えば「上場を目指そう!」という目標を掲げたとします。これは承認欲求人材にはすっと響く目標かもしれません。「上場したら、周りからもすごいって思われるだろうな!」「自分も自信になるな!」などと思い、それがモチベーションになります。

しかし、自己実現欲求人材からすると「なんのために上場するのか?」「上場することで、どんな社会貢献ができるのか?」などの疑問が生まれ、その問いに経営陣がしっかりと答えられなければ、モチベーションにつながりません。

また、所属欲求人材からすれば「そんなことより、同僚との関係で悩んでいる」というようなことにもなったりします。

社内で全社的な目標を提示する際には、どの欲求階層の人材にも響くように「それぞれの人材の腑に落ちる説明」をできることが望まれます。
     

参考

書籍
人間性の心理学―モチベーションとパーソナリティ

人間性の心理学―モチベーションとパーソナリティ
著:マズロー、訳:小口 忠彦 1987年 産能大出版部

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