Vol.83 これまで常識だった経営マネジメント手法の弊害と限界【動画でも解説!】
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今回のご相談内容
これまで主流だった経営マネジメント手法は現在の社会では通用しなくなっているのを切に感じております。
ただ、具体的にどこがどう古くなっているのか、何が問題なのか、いろいろとありすぎてすっきり整理しきれていないところがあります。
石川からのご回答
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これまでのマネジメントの大前提だったトップダウンという考え方
これまでのマネジメントの常識とされてきたものは、ほとんどの会社組織はヒエラルキー構造を持っていて、「上の人が決めたものに対して下の人が従う」ということが基本的に多く採用されてきました。
例えば、会社の売上目標を今期はいくらを目指すかや中期経営計画として3年後や5年後にいくらを目指すのかというところを考えることも、基本的にはトップダウンで考えていて、会社として10億円の売上を目指しますという風になると、メインの部署が3つあるような会社であれば、A部署で3億円、B部署で3億円、C部署は4億円の売上をつくるように頑張ってくださいということをトップダウンで決めていくというカタチがこれまでのマネジメント上では多かったと思います。
売上だけではなく、また、評価制度も、トップダウンで決められた目標に対して、どれくらいその部署や社員が貢献できたかどうかを評価して、評価する側と評価される側という構図でマネジメントをしていく。このようなカタチで企業経営を進めているという会社が多くあると思います。
ただ、このマネジメントのカタチですが、経営の領域でもそうですが、心理学の領域でもいろいろと調べていくと、必ずしもこのようなやり方というのは、個人のパフォーマンスを高めることに寄与しない。むしろ阻害していたりとか、個人及び組織としてのパフォーマンスを出すのにもプラスにもなっていないということが見えてきています。
そういったこともあって、例えばひとつのキーワードとしては【ノーレーティング】のように、点数付けによる評価をやめていこうという流れが世界的にも起こっていたりします。
常識を覆す研究結果が明らかに
この経営や組織の分野についてはかなりいろいろな研究が昔からされてきています。
例えばひとつあるのが、ハーズバーグの動機づけ衛生要因理論では、お金という要素は、人が仕事を頑張っていこうと前向きになっていくところに寄与しないというのが、かなり昔の研究ですが、明らかになっています。
つまり、評価をして頑張った人には金銭的に報いる。例えば「昇給する」「給料が増える」「ボーナスが増える」というカタチでやっていっても、それほど 「よし!そのために仕事頑張ろう!」という風には人はならないというのが明らかになったのです。
もちろんお金は大事なので、不満があったり足りなかったりする感覚が大きいと、もうこの会社のために仕事を頑張りたくないなということにも繋がってくるので、全く無視していい要素ではありませんが、
頑張ったらお給料が増えるよということを意識すると、人間はすごく一生懸命仕事をするようになるのかというと、必ずしもそうではないということが研究成果で出ていたりします。
これからの時代で経営が上手くいくためには
トップダウンで目標を設定するということに関しても、上の人が決めた目標に対して下の人が従うというカタチを採用すると、どうしてもやらせる側とやらされる側という構造が起こります。
トップダウンで決められた目標に対して“やらされる”という状態は、この状態で仕事をしていても、主体的に創造的に働くのは難しいという側面を持っています。
ただ、これまでの時代では、「それでも機能していた」「その方が上手くいっていた」というところも時代背景的にもあるかと思います。
特に日本社会では 昭和の頃は人口も増えていて、高度経済成長期のような歴史もあってどんどん拡大していくというのが社会全般にあったときに、それほど1人1人の社員のパフォーマンスのケアをしなくても事業がまわっていた面もあったと思います。
しかし、今の日本社会の、人口は維持・減少傾向にあり、モノが満ち足りている成熟した状況においては、1人1人がより新しいアイデアを生み出して創造的に仕事をして、ユニークさや付加価値を生み出し続けられるような組織状態でないと、なかなか競争力も維持できないところがあります。
なので、これまでの経営マネジメントの基本とされてきたものは、無視はしなくてもいいかもしれませんが、それだけでやっていてもこれからの時代の企業経営では手詰まりになっていったり、これから更に成長していくことを考えるのであれば、これまでのマネジメントをやっていても効果的な打ち手にはならないというケースは出てくると思います。
今回のメルマガは以上となります。
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次回もお楽しみに♪
[Vo83. 2021/07/06配信号、執筆:石川英明]