Vol.85 職場の心理的安全性を高めるために大事な対話の順番とは?【動画でも解説!】
Contents
今回のご相談内容
職場でどのように心理的安全性を高めていけばよいのか。
誰もが話しやすい環境をといっても既に会社の雰囲気ができてしまっている状況からどう変えていけばいいのかの取っ掛かりがわかりません。いきなり何でも話しましょうといっても逆効果になることも想像できます。
石川からのご回答
今回のメルマガは、動画でも解説しています!(以下の本文と内容は同じです)
通勤中に、休憩中に、ちょっと家事をしながら是非ライフスタイルにあわせてご活用ください♪コメントや感想もお待ちしております。
また、今回の内容についてより詳しくは、無料登録で読める【会社活性化メール講座】で解説しております。よろしければこちらも覗いてみてください。
詳細はこちら >>>
http://co-ducation.com/mail-course/
そもそも心理的安全性とは?
心理的安全性は、Google社の社内研究「プロジェクト・アリストテレス」の成果の発表をきっかけに注目され始めたキーワードです。
その研究は、社内のプロジェクトなどを分析し、「生産性を高める要因」を探るという内容でした。
生産性を高める要因は、個人に帰属するのか、チームに帰属するのか。どんな要素が生産性を高めるために大切なのか。分析した結果、チームとしての特性が大事だということが明らかになりました。
例えば、優秀なAさんという人材が、ある3つのプロジェクトにそれぞれ参加しています。調べてみると、優秀なAさんという人材がいればどのプロジェクトも素晴らしい成果がでるということではなく、チームとしての特性があって、心理的安全性の高いチームはパフォーマンスが高く、成果が出るし、心理的安全性の低いチームは、例え優秀な人材Aさんが入っても パフォーマンスは落ちてしまうということがわかったのです。
心理的安全性の高いチームとしていられるかどうかというのが生産性を高める要因に大きく影響していました。
心理的安全性の高い状態とはどういった状態なのかというと、
“安心して自分の本心や本音をチームメンバーと共有できる”
“例えば 何か困りごとがあって相談をしたらチームメンバーがそれを聞いて一緒に考えてくれる”
このような状態が心理的安全性の高い状態です。
心理的安全性は、言葉に 「心理」 とついているくらいなので人の心の部分を扱っています。
人間として 頭で考えるものもあれば心で感じるものもあるわけですが、心理的安全性においては、心の部分で安心していられること、当人が“本当にそう思えていること””そう感じられていること”が大切です。
職場でどのように心理的安全性を高めていけばよいのか
それでは、実際に職場の中で心理的安全性を高めていくためにはどうしていけばいいのかについてご紹介していきましょう。多くの企業をご支援させていただく中で「こういう順番でやっていくと上手くいきやすい」というところがわかってきました。
まず始めに、逆に心理的安全性の低い状態というのはどういう状態かというと、
「職場では本当のことは言えない」
「困っていても助けてほしいとヘルプを出せない」
という状態になります。
本当はこう思っているが、それを言ってしまったら上司や先輩から頭ごなしに否定されてしまうだろうなとか、何か困りごとがあって助けてほしいと思っていてもそんなの自分でやれよと返されてしまうだろうなということが、想像されているチームや職場であると社員は悩みごとや不安なことを抱え込んだりして何とか自分だけで処理しなければいけないというストレスの多い状態になるわけです。
そのストレスの多い状態から解放していくというのが心理的安全性の高い状態をつくる上で大事です。つまり、「不安です」 「困っています」 というようなネガティブな感情や気持ちというものを最終的にちゃんと共有できるような職場になっていくことが心理的安全性を高めていく上で重要になります。
だからといって、いきなり職場の朝会などの場などで「今 悩んでいることや不安に思っていることをとにかくちゃんと出しなさい」 と言ったらスッとできるかというと、相談者さんの仰るように逆効果になるようなリスクもあり、ちょっとこれは段階を大きく飛ばしすぎていて難しいところがあります。
もう少し手前の小さなステップを丁寧に踏んでいくことが大切です。
多くの人が職場で「心」を取り扱うことに慣れていない
まずそもそも職場で気持ちや感情を取り扱うということ自体に多くの人が慣れていないという状況があります。職場で 「気持ちや感情を取り扱う」というところから慣れていっていただくことが必要です。
社内でチェックインやチェックアウトを活用していただくというのもありますが、ひとつおススメなのは業務上のポジティブな感情について共有する場を設けることから始める方法です。朝会でも定例MTGでも構わないので、そこで業務上のポジティブな感情を共有する機会をつくり、そこから慣れていってもらいます。
業務上のポジティブな感情というのは何かというと、この1週間で 隣の部署の人に〇〇について助けてもらってすごい助かった、ありがたかったですといったような感謝や喜びの共有です。
業務をしていて業務上の報告とか連絡はあるかもしれませんが「すごい助かったんです」「ありがとうございました」というような気持ちを表明したり、それを共有する場面は意図的に作り出さないとなかなかなかったりします。それぞれが職場の中でありがとうと思っているものを伝えるということをしっかり時間をとってやっていただいたりすることを私たちは始めの1歩としてお勧めしています。
こういった時間を取ることで 気持ちを共有するのは「嬉しい」 「大切だな」 という実感値があがってきます。
業務上のポジティブな感情の共有が1番ハードルが低く、それをやってみましょうとなったときに、職場で気持ちを共有することに慣れていない方々でも、あまり違和感がありません。
「気持ち」を共有することに慣れたら次のステップは…
業務上のポジティブな感情の共有に慣れてきたら次の段階は2パターンあります。
1.プライベートのポジティブな感情についても共有する
日本には、公私混同みたいな言葉がありますが、週末にこういうことをしていてこういった楽しい時間がありましたといったような「私」の部分も共有していくことを始めます。
2.業務上のネガティブな感情についても共有する
もう1つは、「ちょっとこの仕事 重たくて期日までに終わらせられるのか不安に思っています」とか、「実はこの件については 違うのではないかと思っていて別の意見を持っています」といったような業務上のネガティブな感情についても共有するパタンです。
こういったことを表明するのは特に同調性の高い組織だったりすると
「何でそういうことを言うんだよ」
「不安を言うなんて男らしくない」
「社会人として間違っている」
などちょっと共有するのに難しさがある場合もあります。
ですが、徐々にそういった不安なども業務上のものに限って共有していってこの業務量の多いのが不安だったら周りの人が何かサポートできることはないかな、やろうとしていることを大きく見積もりすぎていて実はもっと簡単にできるとアドバイスできないかな とかそういった会話をしていくようにしていきます。
それがだんだん 慣れてくると、自分が不安に感じていたり 心配に感じていたり、意見が違っていたりしても、このチームは共有したときにいったん少なくとも聞いてくれるんだと思える状態になるのです。
ただし、最終的にその意見が通るかどうかは別の話です。
心理的安全性は、「公私混同」ではないのか?、部下や社員を「甘やかしている」ことに繋がらないのか、心理的安全性の高い状態はぬるま湯ではという批判については、それぞれリンク先の記事をご覧ください。
最終的に目指したい状態は
最終的にはプライベートのネガティブな感情や情報も共有していけるという風になってきているとかなり心理的安全性の高い組織や職場だと言えるでしょう。
例えば、
「実は不安に思っていることがあってこのプロジェクトのちょうど1番忙しくなる頃に親が介護状態で それもちょっと大変な状態で、プロジェクトが1番大変なときに1番家に帰らないといけないみたいな状況になるかもしれない」
このような話は、プライベートの話であり、仕事に関係する話でもありますが、これを開示するというのは、それを言ってもチームメンバーにちゃんと受け止めてもらえる、受けとめた上で 対処を一緒に考えてくれる仲間だという認識がないとなかなか出せません。
これをいきなり最初から共有するのは難しいのでここまで申し上げてきたように、まずはポジティブな感情を、そしてネガティブな感情も業務上のものからだんだんトータルでどんなことでも一旦職場の仲間に相談してもいいのだと、一旦 相談に乗ってくれるだとそんな状態をつくっていけると心理的安全性の高い職場をつくっていけます。
今回のメルマガは以上となります。
いつも最後までご覧くださり、ありがとうございます。
今回の内容についてより詳しく学びたい方は、是非、無料登録で読める【会社活性化メール講座】もご活用いただければ幸いです。
↓↓↓↓↓
◆◇◆ 無料メール講座のご紹介 ◆◇◆
有料セミナー3日分の内容をなんと無料で大公開!メール講座だから時間を気にせずじっくり学べる。経営者の方はもちろん、人事担当者や管理職、社会保険労務士の方にもおすすめの内容となっております。
登録はこちら >>>
http://co-ducation.com/mail-course/
次回もお楽しみに♪
[Vo85. 2021/07/20配信号、執筆:石川英明]