Vol.120 世代間ギャップを会社でどう取り扱っていくのか

今回のご相談内容

最近よく時代の変化を感じます。昭和ではあたりまえだったことが、今は社会的にNGだからと注意される。一方でまだまだ昔ながらの雰囲気の会社もあるような感じもしますが、多くの会社を見る機会のある石川さんとしては、時代の流れをどのように感じ取っていますか?他社はどんな感じなのでしょうか?

そして、世代間ギャップは会社でどう取り扱っていけばいいのでしょうか。昭和世代の人間としては、新卒社員などにすごく気を遣っているつもりですが、それでも若手社員が辞めていってしまうこともあります。どのように世代間交流して、コミュニケーションを図っていくのがいいのでしょうか。

石川からのご回答

「会社の常識」が変わる / 時代は確実に変化してきている

時代の流れを感じていらっしゃる方は多いのではないかと思います。

パワハラ、セクハラ、アルハラ・・・・様々なものの”基準”が10年前、20年前、30年前とどんどんと変わってきています。(おそらくですが、江戸時代の人は、自分の生きている50年くらいあいだにこれほどの価値観の変化はなかったのではないか、と思います)

私も昭和生まれなので分かりますが、以前は「飲み会で女子社員が、管理職にお酌をする」みたいなことは、ごく普通のこととされていたと思います。今もし「なんで新入社員(の女性)が、お酌に来ないんだ!」と男性管理職が怒り始めたら確実に、ハラスメント案件になるでしょう。

散々言われていることですが、時代は確実に変化しているのです。

出典:ぱくたそ

さまざまな会社で肌で感じる変化の兆し

私は役員や管理職向けの研修などのお仕事をさせていただく機会も多く、役職上位者の方に「怒らないでください」とか「ほめてください」という話になることがあります。

10年前であれば「怒っちゃダメなのか!」「褒めなきゃいけないのか!」という反応がありましたが、最近は違います。

「怒らないように、すごく我慢してますよ」「褒めるように、一生懸命頑張ってますよ」

そういった声をベテラン社員、管理職の方から聞くことが多いです。実際、そうなんだろうなぁと思います。

しかし「上司に理不尽に怒られたので退職します」とか「頑張っても上司が褒めてくれないので退職します」みたいなことは、起こり続けています。

これは原因を考えると「時代の流れの速さ」ということになるのだろうなぁと思います。

上司は1000怒りたいところを我慢して100しか怒っていません。部下は10しか怒られた人生経験がなく100でもびっくりしてしまいます。そういうことが起こってきているのだと思います。

そう考えると「学校教育の現場の方が、いち早く時代を先取りしてきている」のかもしれません。

世代間ギャップをどう乗り越えていけばいいのか

さて、ではどうしたらよいのでしょう?「すごく頑張って怒るのを我慢している50代社員」と、「こんなに怒られるのか!とびっくりしてしまう20代社員」がいたときに、会社としてはどうすればいいのでしょうか?

理屈で言えば、二つのアプローチがあります。

一つは、シニア社員に「もっと我慢しろ」ということです。もう一つは、若手社員に「これくらいは我慢しろ」ということです。どちらかという前者のアプローチをしている会社が多いように思います。後者のアプローチももう少し検討して、実行してみてもいいのかもしれません。

対話を大切にしている我々としては「このギャップそのものを取り扱って対話する」ということを推奨したいと思います。

「これでも、相当優しく接してるんだよ!だって昔だったらね!」という話も伝える。「これくらいでもびっくりしちゃいます!だって学生時代では・・・」という話も伝える。お互いにそれに耳を傾ける。そういう時間を取るということです。

若手の離職に悩む企業は多いですが、この「ジェネレーションギャップをテーマに丁寧に対話をする」ということは、ぜひ取り組んでみていただきたいなと思います。

これまでそうったご支援をしてきて、やはり非常に効果があるという自負があります。「対話かぁ。。。それもまたこっちから歩み寄れって言うことだよなぁ。。。」というベテラン社員の心の声が聞こえてきそうですが!

環境問題、ジェンダーの感覚、上下関係に対する感覚・・・様々なものが本当にどんどんと変化しています。

「変化に対応する必要がある」ということと「歴史的背景を理解する必要がある」ということと、双方から歩み寄れるような場があることが本当に大切です。

 
いつも最後までご覧いただき、ありがとうございます。記事に対する感想や質問などもいつでもお待ちしております!

 

[Vo120. 2023/12/05配信号、執筆:石川英明]